老人性うつや老人の精神疾患については、一般的なうつ病や精神疾患の治療法と同様、適切な治療を行えば改善する病気なので、家族や周囲の人が前向きに取り組むことが大切です。早い段階で正しく対処するためにも、いつもと様子が異なるときはすみやかに医師に相談することが大切です。ただ、老人性うつや老人の精神疾患の予防法や、治療法については、特有の対処法があるので、注意をする必要があります。

老人性うつ等について大切なことは、本人の主張を認める要することが家族は理解する必要があります。本人が「つらい」「体が痛い」と訴えているときに、否定や反論をしてしまうと、ますます悲観的になり症状の悪化につながります。真摯に耳を傾け、共感してあげるようにすることが必要です。

予防についての注意点

老人性うつを予防するには、本人が新しいことにチャレンジする気持ちを持ったり、積極的に会話したりするなど前向きな気持ちを持つことが重要です。そのため定年退職後も何か新しい仕事を始めたり、趣味や習い事に通ったりするといった新しいことをすることで本人の精神的な均衡を安定することが出来ます。ここで注意をしておきたいこととしては、本人が自発的にそういった行動を取らない場合に、出来るだけ社会や人との関わりを絶やさないように、家族や周囲の人たちが気にかけてあげるように配慮するということです。

また、老人性うつ等には栄養バランスの良い食事も大切です。一人暮らしの場合や、身体的な要因で自炊するのが困難な人は、バランスの取れた食事を準備するのが難しくなりがちです。もちろん、ご飯やパンと言った炭水化物も生きる上では必要不可欠なエネルギーではありますが、脳の動きを活発にするためにはビタミンやミネラル、脂質やたんぱく質といった他の栄養素もバランス良く摂取することが必要です。また、同居している家族がいる場合は、肉や魚、野菜、豆、海藻といったさまざまな食材を食べてもらうよう、食事メニューを工夫するような配慮が必要ですし、本人が家族と離れて暮らしている場合は、宅配サービスを利用するという方法もあります。

また、うつ病は、精神を安定させる働きがある「セロトニン」と関係が深いといわれています。そのため外出おして太陽光を浴びたり運動をしたりすると、セロトニンの分泌を促すことが出来ます。そのため、家族や周囲の人は本人に屋外の散歩や簡単な体操などを日常生活に取り入れ、適度に体を動かすようにすることでうつの発症を予防することが可能になります。

治療方法についての注意点

老人性うつの治療については
・環境調整
・薬物療法
・精神療法
の3つあります。この治療をする上でも注意しなければならない点がありますので、ご説明します。まず老人性うつに対する環境調整で注意をしないといけないのは、老人性うつになりやすい人の特性として責任感が強いという点です。つまり、何か家事をする必要がある場合本人は積極的に作業をしようとしますが、あまり無理をさせないということです。一方で休ませすぎということになると、運動不足になり、そのことが原因で寝込んでしまうこともありますので、その点も細かい配慮が必要になります。薬物療法について、抗うつ剤を服用しますが、抗うつ剤は副作用があるので、れぞれの健康状態に応じて抗うつ剤を選択する必要があります。必ず医師に判断してもらうようにしましょう。精神療法については、頑張れ!といった励ましは症状を悪化する原因となります。そのため主治医としっかりコミュニケーションをとって、どのように接する必要があるのか、しっかり確認して対応することが必要です。